部下との人間関係を悪くする5つのしくじりパターンと、改善させるポイント8選

黒板の前にファイルとリンゴが置かれている

「愛情を持って教育してるのに、部下に嫌われている気がする」


「力になりたいのに、全然心を開いてくれない。。」


「ずっと欲しかった部下が出来たのに、関係性が悪い。。」




など、管理職の方で部下との人間関係で悩んでいるという方向けに、本記事では下記をご紹介します。
・部下との人間関係を悪くする5つのしくじりパターン
・部下との人間関係は改善できるか?
・人間関係を改善するためのポイント8選
・人間関係の改善に使える5つのノウハウ

じん

私は23歳から部下のマネジメントは始め、その後不動産会社の役員や人事をしたりと多くの部下と接してきましたが、本当失敗だらけでした。当時は私もプライドが高く精神的にも未熟でしたので「部下が悪い」と思ってしまうことも多々ありましたが、振り返ると「ここが良くなかったなぁ。。」と思うことばかりです。そんな私の体験談を踏まえ伝えていきますので「しくじり先生のようなイメージでご覧ください。


部下の成長が遅いので早めたい。
という問題の解決法ではなく、あくまで関係性を改善したいという悩みに対しての記事になりますので予めご承知おきください。ただ、上司と部下との関係性というのは部下の成長の大きな要因になるので、どちらにせよ参考にはなります。

部下との人間関係が悪くなる!5つのしくじりパターン

コーヒーをこぼした

1、自分と同じ経験をさせようとする

部下と上司の関係が破綻する典型的なパターンです。


「オレは上司に教わらずに見て学んできたからお前も見て学べ」

「オレはお前くらいの時は徹夜して頑張ったもんだ」

「オレはこの方法で上手くいったんだからお前も真似すれば大丈夫だ」



私も、全く同じようなことを言ってしまったり、言わずとも心の中で思っていました。ですが部下からしたら知ったこっちゃありません。


管理職になられてる方は、お仕事をかなり頑張って成果を出してきたはずです。だから自分なりの成功ノウハウや経験が沢山あるので、それを部下にもさせたくなりますが、あなたがそのやり方で上手くいっただけで、全員に該当する訳ではありません。


一人一人性質が違い、合ってるやり方と合っていないやり方があります。
気持ちはメチャメチャ分かりますし、ひと昔前であればそのやり方で良かったと思いますが、今は一人一人の性質に合わせ教育していくことが大切です。自分のやり方を押し付けようとすればするほど部下との関係性は悪くなっていく一方です。

2、お互いのバックグラウンド知らない

人は相手のことを7割知ると嫌いにはなれない
と言われています。


つまり、逆に相手のことを7割以上知っていれば好きになるという理屈です。
7割知っているというのは感覚的なことなのでイメージしづらいかもしれませんが、あなたの身近で好きな人を思い浮かべてください。その人のことは良く知っていると思うんですよね。仮にその人が周りから批判されることがあろうと、あなたは嫌いにはならないと思います。なぜならその人の事を深く知っているから、批判する人は知らないから批判ができます。


特に会社での関係だと、仕事上でのコミュニケーションばかりになり、相手のバックグラウンド(背景)は知りませんから、ちょっとした事で関係が悪くなったりします。芸能人がちょっとした事で炎上して叩かれるのと同じです。


なので、あなたからすると心当たりなかったり、「そんな事で?」という事で部下との関係にヒビが入っていたりする可能性もあります。


現代だとパワハラやモラハラなどで個人的なことを聞きづらい面もありますが、自分から話して相手が話してくれる分には問題ないですし、積極的に仕事以外の面も自己開示していくと良いでしょう。

3、結果しか褒めない

人は誰しも認められたいものです。


ただ、仕事上だとつい結果だけを褒めてしがちです。私たちもプロセスを褒められるよりも結果だけを褒められることが多かったのである意味仕方ないですが、会社だと給与をもらって働いてるので評価がシビアになり、結果だけだと褒められる機会って多くの社員にとって少ないと思います。


結果を褒められてももちろん嬉しいとは思いますが、レベルで言うと結果よりも行動、行動よりも存在そのものの承認です。


結果だけを褒めるのではなく
「いつも工夫して仕事していて素晴らしいよね」
「本当毎日頑張ってたもんね、おめでとう」

など行動を褒めましょう。


存在の承認というのは、相手の存在そのものを認めるという行為です。難しく考える必要はなく
「おはよう」
「元気?」

とかでも十分です。業務とか関係のない声がけは相手の存在を認めている証なので。あとは相手の在り方や価値観などを認めるのも存在承認になります。


部下と上司の関係の前に対等な人間同士であるという事を思い出し、結果だけでなく行動や存在そのものを認めていきましょう。


4、意図や背景まで伝えない

人事をやっている時に、社内の声でよくあったのが「AくんがBさん(Aさんの上司)をかなり嫌っています」という話

それでいざAくんに聞いてみると確かにBさんへの溢れる想い(愚痴や不満)が止まりません。ここで注意しないといけないのが、事実もありつつ【Aくんの思い込み】がかなりあるという事です。

人は自分の考えや決断したこと一貫していたいという心理が働くので、一度Bさんに対し苛立ちを感じるとそれを貫きたいのです。
バイアスとも言いますが、簡単に言えば別の考えとかも持とうとすると脳が疲れるので脳が意図的に楽をしようとする仕組みです。なのでBさんに対し苛立ちを感じる要素を脳が必死に集めます。そしてどんどん上司Bさんの事を嫌いになります。


私がAくんに「Bさんがそう言ってたの?」と聞くと、「いや、Bさんが言ってた訳ではないですが、態度で分かります」などの返答があります。


その後の対応は状況にもよりますが、私なりに「恐らくBさんにはこういう意図があったのだと思うよ、もしくはこうかな。」など複数の可能性を話した上で、呼べそうであれば直接Bさんを呼んで、間に入って「AくんがBさんの〇〇とかに対しこう感じてるみたいなんだけど、それはBさんとしてはどういう意図があってしたんですか?」と聞いてBさんから話してもらうとシコリが取れて解決することが多いです。



これ解決してる理由は意図を話しただけでなく、溜まっている不満を吐き出してるなど様々な要因がありますが、大前提として


指示命令や改善のアドバイスなどをする際は、必ず意図を伝える
を徹底した方がいいです。


それだけで上記のようなトラブルの半分は無くせます。
一度上記のようになってしまうと、人は自分の自尊心を傷つけられるのが嫌いですから中々関係を修復できない事もありますから、可能な限りそうならないことが理想です。

5、メールで解決を図る

人間関係にヒビが入った後か、入りかけている段階ですが、関係を修復しようや、誤解を解こうとする際にメールでやり取りする人も多いですが、メールは絶対に止めた方が良いです。


経験上
■一時的にだけ改善してすぐ悪い状態に戻る
■更に悪化する

のどちらかしかありません。


人間関係のトラブルは、直接のコミュニケーションでしか解決できません。
直接話すか、最低でも電話で話しましょう。


部下との人間関係は改善できるか?

人間関係を示した図


改善できます。


しかし、お互いに良くしたいという気持ちが1%でも無いと厳しいです。自尊心を傷つけられ、「もう絶対に許さない」と一方の人がなっている場合は難しいですが、そうでない限りは改善は可能です。


私自身の例を一つ挙げると
昔、部下のNくんという子がいて、自分なりに一生懸命教育をしていたのですが、いつの間にかNくんにメチャメチャ嫌われていました。当時の私は「なんでこんなに良くしてやってるのに嫌うんだ?感謝こそされど嫌われる筋合いは無い」と思っていました笑
ですが自分と向き合い、自分の良くなかったところを見つめて、Nくんに対しそれを話して本音で「こういう関係にしていきたい」と思っていると伝え、それから関係はかなり良くなりました。


今まで同じようなケースがあった際は、正直関係性悪いまま終わっているケースが多かったと思います。しかし、この時は自分とゴリゴリ向き合わされる研修に通っていた事もあり、自分の弱さと直面することができました。



「オレはこんなに良くしてるのに。。」
という部分に共感した人もいるかもしれませんが、それはそれで間違いないとも思うんです。上司だけが悪いということはなく、部下の責任も間違いなくあるので。
ですが、物事にどっちかだけが100%悪いなんて無いのですから、自分にも責任があるというのも間違いのない事実です。ですから、自分が改善すべきところは真摯に向き合い、良くしていくことが自分の為でもあり、部下の為でもあります。


こうした私の例を含め、自分が部下と向き合う姿勢を変えれば、部下との関係は改善していけるとと確信を持っています。これらか、改善する上で大切になってくるポイントをお伝えしていきます。

部下との人間関係を改善するためのポイント8選

方位磁針

部下との関係性をしくじるパターンは説明してきましたが、実際にどのように改善していけば良いのか?そのポイントを紹介していきます。具体的なテクニックやノウハウの部分は後ほどの「人間関係の改善に使える5つのノウハウ」で記載しますので、先ずは主に姿勢からお伝えします。

①人の本質を理解する

厳密には人それぞれ性質が違いますが、多くの人には
・認めてもらいたい
・必要とされたい
・重要な存在でありたい
・愛されたい
・興味関心をもたれたい
・尊敬されたい

という根本的な欲求があります。


しかも現代だとこれらの欲求が相当強いです。詳しくはこちらの記事もご覧頂ければと思いますが

これらの欲求があると意識すると、部下に対する言動や行動が変わるはずです。そこを理解した上で日々のコミュニケーションを取っていきましょう。

②部下の目的や大切にしている価値を知る

仕事上の目標を理解している人は多いと思いますが、部下が何のために働いているか?職場に何を求めているか?人生で大切にしている価値は何か?などは知っていますか?


私は今30代中盤で、30中盤〜50代あたりの人は仕事で成功したい、会社の為に貢献したい、という価値観の人が多いように感じますが、今の若い世代の価値観は本当に多様です。

早く帰ってプライベートを充実させたい。

給与は低くても良いから週に3日は休みが欲しい。

売上よりももっと社会に役立つことを考えたい。


など多種多様です。


部下が何を求めているのか?どんな人生を送りたいのか?を理解し、仕事を通してその実現が叶うようにサポートする事が大切です。仕事を置き去りにしてやりたい事をやれと促すのではなく、仕事を頑張ることがどう部下の自己実現に繋がるのかを一緒に考えてあげるというイメージです。

③お互いの人生のバックグラウンドを知る

先ほどしくじりパターンでも記載した内容です。


相手の事を好きだから知っていくのではなく、相手の事を知るから好きになっていくのです。
「嫌いだったけど深く話してみたらメチャメチャ愛情深くて良い人だった!」という体験はないですか?現実の例で思い浮かばなければ、漫画などの敵キャラでこいつ最悪だな。。と思っていたらその敵キャラの回想シーンが描かれて急に愛着が湧いてきたという事はないでしょうか?鬼滅の刃とかは敵キャラのバックグラウンドの描き方が上手いですよね。


知れば知るほど上司と部下という関係が、「お互いの人生の応援者」になっていきます。
少しずつで良いので相手の事を理解、自分の事も相手に知ってもらう努力をしましょう。ここに関しては後ほど紹介するノウハウの章でも記載します。

④部下の性質を理解する

部下一人一人持っている性質(性格)が違います。


本人と話して理解していく事も大切ですが、様々なタイプの性質を学んでおくことも大切です。後ほどのノウハウの章でも記載しますが、エニアグラムという性格分析ツールを使って私もかなり人間関係に活用しています。


ただ、エニアグラムを含め、今は性格分析し人をタイプごとに分類するツールが多いですが、主観を持ちすぎないように注意してください。こうした性格分析ツールは相手にラベルを貼るためのものではありません。相手を理解することにに役立てる一つの手段に過ぎません。


このエニアグラムも後ほどのノウハウ紹介でより詳しく記載します。

⑤自分の欲求を満たすための存在にしない

①で記載したような欲求は、当然私たちにもあります。


自分が必要とされたい、認められたい、という欲求が強すぎると、部下を依存させるだけにしてしまいます。無意識的にダメな部下のままにさせて、「自分がいないとダメだ」という状態を作り上げてしまいます。


あなたに依存しているので関係は悪いとは言えませんが、本質的に見れば良い関係とは言えないですよね。


「あなたがいないとダメだ」
という依存でもなく

「あなたがいなくてもOK」
という自立の方が良くて


もっと良いのは
「あなたがいなくても成長していけるけど、あなたがいるからもっと頑張れる」
という、「あなたがいるからもっと頑張れる」という相互依存の状態が理想的です。



自分の欲求を満たす存在にしてしまってないか?に関しては、下記の記事が参考になるのでご参照ください。記事を読んで、もしアダルトチルドレンの要素が強ければ、自己肯定感を高めるよう自分と向き合う事を推奨します。


⑥相手を理解しようとする姿勢を持ち続ける

理解しあってる2人の男の子

危険なのは①でお伝えしたように人の本質を知り、②や③で相手のバックグラウンドを知ると、相手のことを分かった気になることです。確かにそれまでより部下のことを知れたのは間違いないでしょうが、人の価値観は日々進化していきます。気分だって日によって違います。


あなたが理解している相手のままではないのです。


なので、部下がいつもと違うなという行動を取った際などに、①~③を含めた上で、「なぜあのような発言をしたのか?」と考えてみたり、直接聞いてみるなど、常に相手をもっと理解しようする姿勢を持ち続けましょう。

⑦マメに話しかける

ちょっとした事で良いので、「気にかけてもらえている」というのが嬉しいのです。


昔、同僚のHくんという子が元々は上司の事を凄い尊敬していたのですが、上司が忙しくなったり社員が増えたこともありHくんに話しかける機会が減ったら、Hくんが上司に「見捨てられた」と感じメチャメチャ悪態をつくようになって、上司の人は関係性の修復に努めましたが戻る事なく辞めてしまいました。


上司も悪気があった訳ではないので可哀想ですが、Hくんのような感情を抱く人が多いのも事実です。特に会社が小さかったりすると他の上司と部下の関係などが見えてしまうので、比較して寂しさを感じやすくなるケースもありますから、「最近どう?」とかでも良いのでマメに声をかけるようにしましょう。

⑧第三者にサポートしてもらう

関係が悪くなった時は、間に人に入ってもらうことも大切です。


当事者同士の意見だとどうしても主観になってしまい、それだと相手の言葉を素直に受け取れず感情的になってしまう人もいるので、双方の意見を聞いて客観的な見解を言える第三者がいると話がスムーズになるケースが多いです。


子供同士の喧嘩であれば「ゴメンね」で済むようなことも、大人になると自分の「正しさ」をあの手この手で主張しますから、気持ちを受け取りながらお互いが理解し合えるように、精神性の高い人にサポートをお願いしましょう。

人間関係の改善に使える5つのノウハウ

ノウハウの書かれた本


実際に、部下との人間関係改善に役立つノウハウやテクニックを紹介していきます。

①ハートビーイング

これはお互いの
・言われて嬉しい言葉
・されて嬉しい行動

・言われると嫌な言葉
・されると嫌な行動

を伝え合う方法です。


お互いどういう言葉や行動が嬉しかったり嫌なのかが分かるので、今後に活かしやすいですし、相手が嫌と感じる言葉を結構言ってしまっていたなと感じたら「ゴメンね」と謝ることも出来るので非常に効果的です。


下記は夫へのイライラが止まらない奥さん向けに書いた記事ですが、ハートビーイングの方法も記載してますので是非ご覧ください。


②エニアグラム

先程の改善するためのポイント④でも紹介しましたが、お互いの性質を理解するのに役立つ性格分析になります。


エニアグラムの良いところは、診断テストをして「あなたはこういうタイプです!」と決められるものではなく、その診断結果を参考に自分で「このタイプかな?」と特定していくプロセスがあるので、一緒にやっていくとお互いの理解がしやすいです。


エニアグラムのより詳しい詳細や診断テストは下記の記事に書いてますので興味あればご覧ください。エニアグラムは各タイプを理解していく時間が多少かかるので、もっと早く性格分析したいという方は他の性格分析の方が良いと思いますので、オススメの性格分析をまとめた記事も貼っておきます。

③ビジョンシート

こちらは、将来どんな事を叶えたいか?今年1年をどんな1年にしたいか?などを1枚の紙にまとめたものになります。理想は将来のものと直近1年のものを両方作れることですが、部下と一緒にやるなら直近1年のビジョンだけでもいいと思います。


イメージはこんな感じです。前職の内容など生々しい部分もあったので結構隠してますがご了承ください笑

未来の計画


ポイントは
叶った光景のイメージ写真を貼る事ですね。営業成績1位が目標であればガッツポーズしてる写真などを貼ったりなど。あとは、その目標を達成するためにどんな自分であるか?も書くのがオススメです。例えば「言い訳をしない」「1日1%でも成長する」など。

④自分史

これは生まれた時から今までの人生の
・最高に嬉しかった出来事
・その出来事を支えてくれた人、共に喜んでくれた人

・挫折したり、辛かった出来事
・その辛い時期を支えてくれた人

を書いていくものですが、時間が1〜2時間程度はかかるので、部下とそこまでの時間が取れない人場合はここまではしなくても良いと思います。


その場合は
ナラティブアプローチ
という自分の人生を自由に語ってもらうという方法がオススメです。


これであれば、ランチや呑みに行った際などに聞きやすいです。ただ、どんな人生だったの?といきなり聞くのは不自然過ぎるので、「小学校の時は何かクラブ活動とかしてた?」とか入りやすい話題から入って「その頃は何が楽しかった?」とか掘り下げていくのが良いでしょう。


自分史に関しては過去の記事に書いてますので、こちらも参考になさってください。


⑤アサーション

アサーションとは
自分も相手も大切にするコミュニケーション
のことです。


別の表現で言えば「相手が気持ちよく受け取れる伝え方」をする事です。こうした伝え方が出来るようになれば、改善点なども伝えやすくなりますし、いつの間にか部下に嫌われていた。。という事も減ります。


具体的な方法はこちらの記事に記載しています。


まとめ

人間関係は複雑なので、部下にどれだけ一生懸命マネジメントしても、時には関係が悪くなる事もあると思います。


その時に、自分に責任があると思うことは大事ですが、決して自分の自信を無くしたり落ち込み過ぎたりはしないでください。どっちかだけに責任があるという事はなく、上司にも責任があれば、部下にも責任があります。会社にもありますし、親にもあります。様々な要因があるのです。


こうして部下との関係性を良くしたいと思い記事を読んでいる時点で素晴らしい上司だと思います。後はその愛情が伝わるか伝わらないかだけですから、今日お伝えした方法が参考になっていれば幸いです。

記事を読んで頂きありがとうございました。


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