「子どもが場面緘黙症で、これは親の私に原因あるのかしら。。」
「場面緘黙症の息子のために親として何かできる事はないかしら。。」
本記事ではこんな悩みをお持ちの方に向けて、
場面緘黙症の原因は親?当事者が語る親に求める3つのこと
という内容をお伝えします。
具体的に私がどのような状態だったのかは次の章で記載します。
目次
私の場面緘黙症の実例
恐らくこの記事を見ている方は場面緘黙症がどういうものか理解している方が多いと思うので、その説明は省きますが、当時の私がどのような状態だったかというと
・「おはよう」と言われて、返したいと思いながらも言葉がでずに返せない
・同級生に話しかけられても返せない
・給食で食べれないものを言えずに、残すと怒られるので引き出しに隠した
・4、5人でグループを作ってという時に自分から輪に入れない
・笑うなど、みんなの前で表情を出すことができない
・トイレに行きたくてもそれが先生に言えない
・学校が怖いのでそもそも学校へ行かない日の方が多い
という状態でした。
先生や同級生からしたら「話すのが好きではない子」「一人でいるのが好きな子」という印象だったと思いますが、全くそんな事はなく、話したいし、友達も欲しいし、普通に学校に行きたい。
つまり
話したいけど話せない
という状態でした。
それが12歳まで続き、中学で人生を変えようと計画を立てて何とか克服することができました。この詳細に興味ある方は下記の自己紹介をご覧ください。
家族や親戚とは話せていましたが、幼稚園や学校に行くと誰とも話せない。当時そうなった具体的な原因は自分でも正確には分かりませんが、大人になってから分析してみると
・人にどう見られているか?
・話すことによってどう思われるか?
という事に対して異常なほどの不安や恐れを持っていたと思います。
幼稚園に入るまでは家族としか話していないのでそれを感じることはありませんでしたが、幼稚園に入った瞬間から上記のような状態になりました。
元々持っていた不安や恐れ(特に対人関係において)が幼稚園に入るという環境の変化により増大し、自分でもコントロールできないパニック状態にとなり話せなくなったのではないかと考えています。
そして、その原因は親にあるのか?
というのを私なりの視点で次の章でお伝えしていきます。
場面緘黙症は親のせい?
研究的には昔は親の過保護や過干渉が原因とされてましたが、近年だとそういった説は減って、不安を感じやすい、言語スキルの問題、発達の問題、など様々な要因の可能性がありまだ研究途中という段階のようです。
私の個人的な意見ですが場面緘黙症は
何か一つだけの原因ではない
と考えています。
つまり、
親だけの原因ではないが
親にも原因はある
という事です。
親だけの問題ではないので必要以上に責任を感じ過ぎる必要はありませんが、お子さんの為にできる最善は尽くした方がいいので、「自分には全く責任がない」と思うよりも「自分にも責任にはある」という意識を持った方が良いです。
重く考え過ぎて自分自身のメンタルが不安定になっても良くないですし、軽く考え過ぎて何もしないのも良くなくて、バランスが大事という事です。このように親御さん自身が精神の調和を取れていることはお子さんの精神にもかなり良い影響をもたらします。
親が原因になるとしたらどのような要素が考えられるか?をこれからお伝えしていきます。
場面緘黙症の原因が親になる3つの可能性と、親に求めること
原因①家族や親戚以外と話す機会を設けなかった
家族や親戚だけと関われている絶対的な安心空間から、一気に不安だらけの空間になった事で不安が増大し、それで話せなくなった可能性も高いと考えています。
それでも問題ない子の方が多いのでしょうが、場面緘黙症の傾向がある子の場合だと一気に環境が変わることは負担が大き過ぎると思います。
大人だって、もし朝起きたら急に中東の紛争している国にいたとしたらパニックになりますよね。それが子供の世界では起きているようなイメージです。
集団生活に入る前に、家族や親戚以外の人と話す場を設けることは非常に大切です。特に同い年くらいの子供と接する機会ですね。
同じタイミングで子供ができた友人がいれば、ご自宅に遊びに行くや一緒に出かけるなどすれば良いと思いますし、何か小さい子が集まるイベントなどあればそこに連れていくとかでも良いと思いますが、とにかく身内以外の同世代の子と話す機会を持ちましょう。
保育園に入る子だとそうした経験が持てるのだと思いますが、それはご家庭の事情もあるでしょうし、物心着く前から接していた同世代と、物心付いてきた時から接する同世代とだとまた違う感じ方になると思うので、保育園に入ってたとしても次の環境に進む前にそういう機会を何度か設けた方が良いと思います。
要は慣れる場ですね。本番前の練習という感じです。
場面緘黙症の傾向がある子が何の経験値も無しにいきなり集団生活に入るのは、今まで自転車で自分の後ろにしか乗せていなかった子に対して、今日から自分一人で自転車乗りなねと急に言うようなものです。先ずは補助輪をつけた自転車に乗せてあげて練習させてあげることが大切です。
原因②親自身が不安になりやすい傾向にある
私は、場面緘黙症は細かくはその人によって様々でしょうが、多くの人は対人恐怖症と同様に「人からどう見られるか?」「どう思われるか?」という誰しもにある不安が人よりも遥かに大きい状態だと考えています。
その強烈な不安から生き延びる方法として【話さない】を本能が選択することにより、話したいけど話せないという状態になると思っていますが、その不安を感じやすい心は親からの影響の可能性もあります。
遺伝の関係もありますが、遺伝でいうと日本人のほとんどは不安遺伝子と言われるものを多く持っていると言われているので、その遺伝だけでは場面緘黙症なるとは考えづらいですが、脳にはミラーニューロンという神経細胞があり、これは簡単にいうとモノマネ細胞で、近くにいる人の感情や思考が自分にも伝染するというものです。近くに緊張してる人がいると自分まで緊張してくるようなイメージですね。
あなたが不安を感じていればいるほど、それはお子さんの脳に伝染します。
つまり、親も不安を感じやすい、特に人の目を気にする傾向にあればお子さもそうなっていきます。仮に両親共にそういう性格であればより影響は強いでしょう。
私の両親も基本的には前向きな両親ですが、私が幼少期の頃はお金の事でよく喧嘩していて父も母も不安は相当強かったと思うので、そうした影響は少なからずあったと思います。
不安を感じていればそれがお子さんに伝染すると書きましたが、逆に前向きな感情が多ければそれもお子さんに伝染します。
近くにいる人の思考に似ているなと感じたことはありませんか?
あなたのご両親に対して「やっぱり親子だな〜」と感じたことはありませんか?
お子さんを変えようとするのではありません。あなたが変わればお子さんも変わります。お子さんの事に限らず、人は他人を変えようとはするのに自分を変えようとはしませんが、自分が変われば相手も変わっていくのです。
ただ、無理やり前向きになろうとしても難しいです。頭では前向きに考えても「でもな」と無意識レベルではそれを否定しますから、根本的に自己肯定感を高めることが大事です。
先ずは自分の自己肯定感がどの程度が知ることをお勧めします。高ければ問題ないと思いますが、下記のチェックテストでふつう以下の結果の場合は、自己肯定感を高めましょう。
原因③他人のせいにしている
他サイトの書き込みなどを見てると「スクールカウンセラーの人が気づいてくれれば。。」「先生がもっと良い対応をしてくれいれば。。」という投稿も多く、お子さんに対する愛情からだと思うので気持ち分からなくもないですし、本当に自分の心が弱っている時であれば人のせいにしても良いと思いますが、そういう考えが根本的にある人であれば大問題です。
お子さんは、苦しい状況で心を保つ為に人のせいにしても良いと思いますが、親が誰かのせいにするのは止めましょう。
もちろんイジメとかを見て見ぬフリをしている先生はダメですが、一生懸命サポートしてくれようとしても上手くいなかい事の方が多いはずです。当時の私の担任の先生達もみんな良い人でした。今思えば場面緘黙症の生徒に対しては言うべきやさせるべきじゃないなと思うことは沢山ありますが、当時知ってる人はいないのですから仕方ないですし、一才責める気はありません。むしろ一生懸命関わってくれた事に感謝しています。
なぜ他人のせいにしてはいけないかといえば、自分に出来る行動をしなくなるからです。他人を恨む暇があるなるお子さんの為に出来ることをした方が良いです。
・転校を考えるなど今いる環境を変えてあげる
・親自身が前向きになる
・子供が自信を持てるように色んな分野に触れさせてあげる
・少しでも長い時間一緒に過ごしてあげる
・心が安定しやすいような食事を取り入れる
など、出来ることは沢山あります。
会社にいないですか?
文句ばかり言ってるけど、自分で提案は一才しない人。100個文句言う暇があるんだったら1個提案をした方が良い。
そういう人になぜ提案しないのか聞くと「いや、会社には別に愛情ないし」という言い訳が多いですが、お子さんには愛情あるはずなのでその言い訳は使えません。
場面緘黙症のこと問わず、状況を良くしていける人は
全ての状況を作り出す源は自分である
と考えられる人です。
②の話にも通じますが、あなたが他人や環境のせいばかりにしていたら、お子さんも他人や状況のせいばかりにする子になっていきます。
本当にお子さんのことを想うのであれば
・他人のせいにしない
・言い訳をしない
など、自分の心を成長させていきましょう。
終わりに
という事で
場面緘黙症の原因は親?当事者が語る親に求める3つのこと
をお伝えしてきました。
少し厳しい視点でも書きましたが、この記事を読みに来てくださった方はお子さん想いの優しい方だと思いますので、その想いが実ってお子さんが幸せな人生を歩んでいってくれることを祈っています。
私の場面緘黙症が治ったキッカケと、克服する為に必要なことは過去の記事に書いてますので、こちらも是非ご覧になってみてください。
ただ、本記事でも書いたように、お子さんに対するアプローチも大事ですが、親自身が成長することも非常に大切です。お子さんに成長や変化を望む前に、自分自身が成長、変化をしていきましょう。
記事を最後まで読んで頂きありがとうございました。
私自身が場面緘黙症だったという事です。
他記事ですと精神科の方や発達障害などの支援機関が書いてる記事が多く、それも大変参考になりますが、研究として場面緘黙症を見てる人と、当事者とではまた違う視点があると思います。特に私の場合30年近く前ですから、場面緘黙症という言葉が全く認知されていない時代で、治療や周囲の理解が無い中で克服してきた経験があるので、そういった観点からお伝えしていきます。
ちなみに、当時親にも先生にも私自身にも場面緘黙症という認識は無かったため病院などで診断を受けた訳ではありません。ただ、場面緘黙症という言葉を大人になってから知り、当時の私の状態を見ると確実に場面緘黙症でした。